ひと昔前(といっても数年前ですが)の勉強会では、Ustream を使ってセッションをライブ配信するということが一般的でした。私は、関西在住のため、特に東京で開催されているイベントをライブで視聴できるのはとても便利でありがたいものでした。
私自身がライブ配信の恩恵を受けているので、自分が開催するイベントでも可能であればライブ配信したいと考えていました*1。
ある時、関西の PHP コミュニティで集まる機会があったので、ライブ配信について話していました。その場には、15人ほどいたと思うのですが、ライブ配信が欲しいと考えいたのは私一人だけで、あとは後日動画を公開するならライブ配信は無くて良い、あっても見ないという人ばかりでした。正直、ここまで必要とされていないというのは意外でした。
このエントリでは、ユーザコミュニティ主催の勉強会やカンファレンスにおけるライブ配信について考えてみたいと思います。
ライブ配信が欲しい理由
私がライブ配信があって嬉しいのは、下記のような理由です。
- 遠隔地や都合で参加できない勉強会のセッションを見ることができる。
- ライブで参加することで、その雰囲気を(一部でも)味わえる。
- Twitter でハッシュタグで tweet することでよりライブ感を味わえる。
- 場合によっては、Twitter でのやりとりが発生して、より雰囲気を感じられる。
実際のところ、「気持ち」の部分を除外すれば、後日の動画配信でも問題ありません。勉強会のセッションを今見ないと明日困るとかほぼ無いですし。ただ、この「参加している」感を味わいたいというのが大きいですね。
プロ野球で例えると、こんな感じかな。
— Masashi Shinbara (@shin1x1) June 16, 2016
勉強会に参加 = 球場で観戦
Live 配信 = TV で生中継で見る
録画動画配信 = 録画放送 or スポーツニュースで見る
これは、スポーツ観戦に似ていると思っていて、プロ野球や MotoGP 観戦が好きな自分にはライブ配信(生中継)というのは大きな価値を感じます。一方、「スポーツニュースで結果だけ見ればいいやん」という人には価値を感じないのかもしれません。*2
運営としてのライブ配信
参加者としてのライブ配信は上記のとおり欲しいのですが、運営としてもライブ配信のメリットはあります。
- 現地に参加していない人にもイベントをアピールできる
- スポンサーやスピーカーの露出をより高められる。イベントへの参加メリットを増やす。
- 以前のUstream であれば、ライブ配信と録画、アーカイブ配信が一気に出来た。*3
- 参加者として享受しているライブ配信のお返し(これは個人的)
おそらく、ライブ配信自体を否定する場面は少ない*4と思うのですが、実際にやるとなると、考えないといけないことがあります。ぱっと思いつくだけで下記のようなものがあります。
- 運営負荷が上がる(機材調達、設置、撮影、配信、撤収などなど)
- "ライブ" なので、特に配信担当者の負荷が高い(心理的にも)
- 配信回線の帯域確保
- スピーカーへ配信可否の確認が必要
- スピーカーは配信されることを前提に話すこと必要がある(後日公開なら後で公開、非公開を選べる)
これまでは、自分のように必要としている人がいると思っていましたが、冒頭の結果を受けて、あらためてその必要性を見直そうと考えました。
Twitterでの反応
ライブ配信が必要かどうか、Twitterで聞いてみました。結果は下記です。
勉強会やカンファレンスの Live 配信(Ustとか)で、エア参加できるの、遠隔地で開催されてるイベントとかすごく助かるんだけど、最近はそういうニーズは少ないのかな。
— Masashi Shinbara (@shin1x1) 2016年6月16日
勉強会やカンファレンスのセッション配信って、どうでしょう?
「ライブ配信欲しい派」と「後日公開されれば不要派」が、おおよそ半々という結果でした。この結果を見ると、ライブ配信が欲しい人がまだまだいるのだなと感じました。
関西 PHP 勉強会
ちょうど、関西 PHP 勉強会があったので、その会場でも聞いてみました。ざっくり、15 人くらいの方がいたので、上記 tweet の設問を聞いてみると、ライブ配信が必要な人は、たったの 1 人でした*5。冒頭の数と合わせると、おおよそ 1:30 となり、ライブ配信はほぼ必要とされていない状況でした。
ライブ配信をやるべきか
ライブ配信をやるべきかどうか。運営側としては悩ましいところです。
正直なところ、これまで関わったイベントでは、いわゆる配信職人と呼ばれる人*6におんぶに抱っこの状況でした。アウトソースする手もありますが、それなりに費用もかかります。
運営側としてはメリットは感じつつも、その効果が薄く、負荷とのバランスが取れないのであれば、やらないと判断するのも自然なことです。
勉強会自体が増えて気軽に参加できるようなった(個々のイベントの希少価値は相対的に下がった?)、ブームが落ち着いてただ参加したいという人が減った、ライブ配信を閲覧していたがその価値を感じなくなったなど、ライブ配信が必要とされない理由は考えられますが、勉強会を取り巻く状況が変わってきているのは確かなので、これまで当たり前にやっていたことを見直す時期に来ているのかもしれません。
それにしても、今回驚いたのが、Twitter での反応と関西 PHP コミュニティでの反応に大きな乖離があった点です。後者では、自分以外ライブ配信に必要性を感じないという結果だったのですが、これは、「関西」だからなのか、「PHP」だからなのか、「関西 PHP」だからなのか。謎は残りますが、少なくとも「関西 PHP」でやるイベントについては頭に入れておかないといけないことですね。
ちなみに、関西 PHP 勉強会では、セッション中の tweet も少なめなので、そのあたりも関係しているのかもしれません。
さいごに
勉強会を Ust で配信して、オンラインで参加して、Twitter で絡む。一時は当たり前のように繰り広げられていた風景です。それがよくある勉強会だと考えていましたが、そうではなくなってきたのは少し寂しい気もします。
見方を変えると、勉強会がより身近になって「ライブ配信」よりも「ライブ」を重視する人が増えたとも言えます。
人によって色々な意見があると思うので、ぜひあなたの意見も教えて下さい。
Twitter で頂いた意見
Twitter でアンケートを行った際に教えてもらった意見です。どれも一理あって、なるほどと思いますね。
(個人的には)ライブ配信もしたいけど、ライブ配信のクオリティ確保なかなかむずかしいので録画を優先するマン。 https://t.co/rXdQAg58Hu
— うずら (@uzulla) June 16, 2016
まんなかかなー https://t.co/oaQlVTwIxe
— suzuki (@suzuki) June 16, 2016
@shin1x1 Periscopeとかで手軽にできる気しますけど、魂抜かれるんでやってないっすね・・・。
— 西 宏和 (@hirokazu1225) June 16, 2016
@shin1x1 ライブ配信は本気出すと回線品質の関係からマンパワーが凄く取られるから、ライブはスマホで簡易的にやって、録画はビデオカメラで撮影して後から配信っていうのがベストなんだろうけどねー
— 南浦トシカス™ ゴマちゃんもふり隊 (@t_minamiura) June 16, 2016
@shin1x1 セッション配信があると、遠隔組が参加できて嬉しいのはもちろんですが、当日参加組的にも嬉しいと思う派です(会場がいっぱいで入れない時に視聴できるとか、途中で帰宅しなければならない時なども帰宅時に視聴できるとか)
— Kei Sawada (@remore) June 17, 2016
@shin1x1 単純にマンパワーとか機材の問題を考慮しないなら、地方勢としては、Live配信して頂けるならとても嬉しいです。ただ、やはり昔より配信は減ったと感じますね。スポンサーCMを流すとか、配信側に何かメリットが生まれる要素があれば、増えてくれるのでしょうか…。
— Issei Sato (@IsseiEL) June 17, 2016